医療機関・
行政の皆様へ
難病の子どもと家族が
安心して治療に専念できるよう、
横の連携が不可欠です
ファミリーハウスでは、
小児医療と利用者の
ニーズの変化に対応するため、
「病院との連携」をもとに
ハウスの
立地、特徴、機能性を考慮して、
利用者に適したハウスを
選定しています。
ファミリーハウスの役割
治療が必要な子どもとその家族の「日常生活」を支えるため、医療機関と連携しながら、安全安心なハウスの運営に努めています。
利用者のニーズの変化と
病院に近いハウスの必要性
医療の進歩、入院期間の短縮化など医療・政策により、ハウスに求められるニーズが高度化、多様化してきました。より高度な治療が行われるとともに、治療期間だけ入院しその後は通院で経過観察をする、入院せず外来で抗がん剤治療や放射線治療をする、医療機器を装着したまま病院の近くで滞在しながら外来通院するなど、医療的配慮が必要なケースが増えてきました。医療機関と連携しながら、重篤な状況の子どもを受け入れる事例も増えています。
また、通院しながら治療を受けることが増えてくると、遠隔地からの利用者だけでなく、今までは通院可能と考えてきた比較的病院に近いところに住んでいる方も、子どもの治療による体調不良を理由に利用を希望されるようになってきました。
さらには、家族が子どもへの医療的ケアができるようにハウスで練習するというニーズも高まっています。ハウスで医療的ケアをしながら日常に近い生活を送ることで、自宅に帰る自信を得ることにつながっています。
病気の子どもと家族が
「病院近くのわが家」を
利用するニーズ(例)
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親が入院中の子どもの面会や付き添いのために利用する
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入院中の子どもが一時外泊先として利用する
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移植を待っている子どもが親と一緒に利用する
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プライバシーが守られた環境で自分らしい生活を送ることで、治療への前向きな気持ちを高める
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治療と治療の間、外来受診をしながらハウスで数週間過ごす
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長期入院で会えていない家族全員と一緒に過ごす
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家族が医療的ケアができるようにハウスで練習をすることで、自宅に帰る自信を得る
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車いすやストレッチャーで移動する子どもが、バリアフリーな環境で安心して利用する
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治療と治療の間、外来受診をしながらハウスで数週間過ごすこともある。
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ハウスで訪問学級を受け入れることもある。オンライン授業をハウスで受けることももちろん可能
ファミリーハウスの専門性
ファミリーハウスでは、「受付スタッフ」「専門相談員」「コミュニティ」が相互に連携し合い、患者家族をトータルでケアする体制を機能させています。看護師、社会福祉士、心理カウンセラーなどの専門資格を持つスタッフも有しながら、関連するさまざまな専門資料をもとに、ガイドライン、ハンドブックを作成して活動に臨んでいます。
三機能の連携
患者家族の
「日常生活」を支える
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受付スタッフ
電話にてハウス利用のニーズの把握、受入の検討・判断、受入のためのコーディネート等を行います。
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専門相談員
日常生活を送っているハウスでの面談で傾聴し、個別のニーズを把握します。
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コミュニティ
スタッフによる日常的な声掛け・見守り、ボランティアによる温かみのある場づくり、寄付者による資金・物品支援で、「つながり」を感じられる場をつくります。その結果、ハウス利用者どうしの支え合いが自然に生じることもあります。
連携
患者家族のニーズによって、病院・特別支援学校・保育園・通訳等と連携することがあります。
連携先のひとつで、「ひつじさんのおうち」をファミリーハウスが近くに運営する国立成育医療研究センターでは、小児がんセンターでの取り組みとして、患者と家族のための“緩和ケアチーム”(こどもサポートチーム)における多職種チームの一員として「患者家族滞在施設」を挙げています。
利用者の主な受診医療機関(五十音順)
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がん研有明病院
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慶應義塾大学病院
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国立がん研究センター中央病院
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国立成育医療研究センター
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榊原記念病院
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順天堂大学医学部附属順天堂医院
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聖路加国際病院
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東京慈恵会医科大学附属病院
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東京医科歯科大学医学部附属病院
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東京女子医科大学病院
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東京都立小児総合医療センター
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東邦大学医療センター大森病院
など
関係者の声
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ハウス利用者の声
入院中、子どもは「うさぎさんのおうちに帰りたい」といつも言って、泊まるのを楽しみにしていました。毎朝病棟に来る先生をつかまえては、「きょうはうさぎさんのおうちに行ける?」と尋ねていました。結局、子どもがハウスに泊まれたのは数日だけでしたが、滞在中とても楽しそうでした。
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ハウス利用者の声
2か月ぶりに姉妹で一緒に過ごすことができました。外泊したお姉ちゃんとたくさんゲームをすることが出来て、お姉ちゃんは楽しそうでした。私達姉妹を泊まらせて下さり、ありがとうございました。
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スタッフの声
ハウスでは、病気の子どもと家族が安心安全に自分らしい時間を過ごせるような対応を心がけています。近年では、重篤な病状のお子さんがハウスで過ごすというニーズに対応することも増えてきました。この活動は、社会の支えがないと成り立たない活動です。特に、医療機関の皆様との連携を密にすることで、患者家族のニーズを適切にアセスメントでき、ハウスで安心安全に受け入れられる範囲が広がります。それは、子どもと家族の選択肢を増やす事にもつながると考えています。今後、より様々なニーズに対応するために、医療機関、行政機関をはじめ社会の皆様とともに取り組んで参りたいと思います。
認定NPO法人ファミリーハウス ハウスマネージャ
ソーシャルワーカー(社会福祉士)
植田 桃子 -
スタッフの声
ハウス利用する親や子どもとの面談では、子どもの病状や闘病生活の心配事を安心して話せる関係づくりを心がけています。主治医や病棟関係者などとも連携しながら、子どもの病状の変化に応じて、常に安心安全にハウスを利用できる環境をつくるようにしています。また、感染症対策については、感染症看護専門看護師の監修で『ファミリーハウスにおける安全衛生マニュアル』『免疫力が低下している子どもとその家族を安全にハウスに受け入れるための安全衛生ガイドライン』を制作し、スタッフやボランティアへの安全衛生研修も実施しています。そうした努力を積み重ね、新型コロナウィルス感染症拡大により緊急事態宣言が発令中のときも、ハウス利用者を受け入れ続けることができました。これからも、病気の子どもと家族を支える関係者が連携して、安心安全に自分らしい時間を過ごせる場所としてハウスが活用されるように努力を重ねていきます。
認定NPO法人ファミリーハウス 相談員
看護師
赤池 文子
ファミリーハウスの
取り組み
出版物
ファミリーハウスでは、トータルケアにおけるハウスの役割、緩和ケア、終末期ケア、感染症対策などに関する専門的な知見を深め、ハウス活動の質的向上のために情報発信を行っています。
医療機関・行政の
皆様へのお願い
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ハウスを必要としている人に情報提供をお願いします。
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トータルケアの実現のためには、医療機関の皆様にハウスでの受入実態をご覧いただくことが大切だと考えています。ハウス見学を希望される方は、こちら(問合せフォーム)からご連絡ください。
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治験・移植等の小児高度医療のためには、病院から徒歩圏で家族単位で安心・安全に滞在できる場所が必要です。ぜひ、医療機関・行政の皆様と連携して、そのようなハウスを増やしていきたいと考えています。
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ハウス利用者から「病気の子どもがハウスを利用する場合、安心安全な滞在のためファミリーハウスが必要に応じて医療者等から情報を求めること、また情報を提供すること」に承諾をいただいています。また、実際に医療機関と連携する際には、利用者からあらためて同意を得たうえで連携をしています。