認定特定非営利活動法人ファミリーハウス

Let's Study

Vol.70 生体肝移植ドナーについて~条件と手術について~

2025.01.22

Let's study

私達が知っておきたい知識を専門家から学ぶこのコーナー。
連載2回目の今回は、生体肝移植ドナーについて伺います。

 生体肝移植は、重い肝臓病の患者さんの命を救う治療法です。この手術では、
健康な方が自分の肝臓の一部を患者さんに提供します。ドナーになるために、
一番大切なことは、「自分自身の意思で肝臓の一部を提供したい」と思うこと
です。また、20歳以上65歳未満の健康なおとなの方で、患者さんと血縁関係の
あるご家族(父母、祖父母、きょうだい、おじ・おばなど)が対象となります。
ドナーは家族の中で協力して決める必要があり、手術後の生活や仕事への影響
も十分考慮する必要があります。

 手術では、健康なドナーにも負担がかかります。術前検査では、血液検査や
CT検査を行い、提供に適しているか詳しく調べます。ドナー手術ではみぞおち
の部分に約13cmのたての創で、肝臓の一部を取り出す手術を行います。最近で
はドナーへの負担を軽減できる腹腔鏡下ドナー手術を選択できる場合がありま
すが、ドナー手術の後、職場復帰や日常生活への完全な回復には1~3か月程
度かかります。その間、家族の協力が欠かせません。

 また、手術後も定期的に検査を受け、健康状態を確認します。これにより、
ドナーの安全を守ります。ドナーになる決断は義務ではなく、途中で撤回する
ことも可能です。医療スタッフはドナーの不安や疑問にも寄り添いながらサポ
ートします。

 生体肝移植は、患者さんと家族全体の協力が必要な治療です。不安なことが
あれば、遠慮せず医療スタッフに相談してください。家族が力を合わせること
で、手術を乗り越え、共に新しい生活を始めることができます。

国立成育医療研究センター 臓器移植センター
医師 福田 晃也

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